大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)130号 判決

原告 井上正三

被告 鹿児島県弁護士会

右代表者会長 村田継男

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実および理由

原告の請求の趣旨および原因は、別紙のとおりであり、その要旨は、「原告は、弁護士法五八条一項に基き被告に対し同弁護士会所属弁護士の懲戒を請求したところ、棄却され、右処分に不服なので、その取消を求める。」というのである。

しかし、弁護士法五八条一項の規定による懲戒請求者は、右請求を受けた弁護士会がその弁護士を懲戒しないことに不服のある場合には、同法六一条一項の規定に従い日本弁護士連合会に異議を申し出ることができるのであって、右手続によることなく直接裁判所に出訴し得る旨の規定は同法に存しない。これは、弁護士を懲戒するか否かの問題は、弁護士会または日本弁護士連合会の自主的判断に任せるという弁護士法の趣旨に基くものである(最高裁判所昭和三八年一〇月一八日判決・民集一七巻一二二九頁参照)。

従って、原告の請求は、裁判所に出訴し得る事項に該らないので、本件訴は不適法として却下すべきものである。よって、民事訴訟法二〇二条、八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 寺田治郎 裁判官 福間佐昭 宍戸清七)

〈以下省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例